なぜ僕らはドーナツを選んだのか。|ing FES.5の裏側
文:熊部長(MaybeStandard/ing)
はじまりは「結婚式の二次会みたいな夜」から
ing FES の歴史を振り返ると、今回で5回目。そもそもの始まりは、イングフェス2。ダンス部を中心に、「結婚式の二次会みたいな空間でやってみよう」と、ちょっとした“お試し”で始めたのが最初でした。
その後のイングフェス3では、代表ナッティーの「みんなに晴れ舞台を用意してあげたい」という想いから、ステージを中心にした本格的な会場へ。照明もプロ仕様。まるでライブステージのような空気を、趣味のダンス仲間たちと一緒に創り出しました。
倉庫をまるごと“秘密基地”に変えた、イングフェス4
そしてイングフェス4。「居場所を自分たちで作る」というコンセプトから、あえて何もない倉庫を会場に選びました。照明も音響も、キッチンカーも、すべて自分たちの手で。ゼロから空間を作るその過程こそが、“イングらしさ”の原点でした。
こうして「お試しのFES2」から「ステージのFES3」、そして「手づくりのFES4」へと進む中で、参加者も徐々に“出演者から企画側”へと変化してるのでは、、、そのようなエピソードとたくさん出会い。その過程から「自分たちのイングフェス」という感覚が広がり、FESそのものが、ひとつの“文化”になっていったそんな気がします。
そして、めぐり、もどる。イングフェス5の舞台へ
今回のイングフェス5は、アンケートやヒアリングを経て、なんと“あのイングフェス2の会場”に戻ることになりました。池袋・グレイドパーク。あの夜を覚えている人も多いと思います。
つまり今回のFESは、「原点回帰」。けれども、ただ戻るのではなく、これまでの経験・思い出・スキル・新しい仲間たちを連れて戻る。それが“RE:Return”の意味です。「Re」+「ing」=「Ring」。まさに“輪(wa)”を描くように、再び回りはじめる。そんな象徴的な構造になっています。
テーマは「和(wa)」――つながりのドーナツ
今回のイングフェス5のモチーフはドーナツ。和(wa)=輪(ring)=笑(smile)。ドーナツの輪も、笑顔の輪も、人と人がつながる“wa”も、すべてがこのFESのテーマに込められています。
そして、ナッティーが言った印象的な一言。「イングは、仲間じゃなくてもいい場所でありたい。」まさにこの言葉が、今回のフェスづくりの中心にあります。
見えない努力の輪=“wa”
- 必死に踊る人がいて、その人にダンスを教えた人がいる。
- 初めて人前で踊る緊張でフリを忘れても、笑顔だけは忘れない人がいる。
- 誰にも言わず、仕事の合間にこっそり自主練を重ねてきた人がいる。
- 「一緒に合わせよう」と時間をつくり、付き合ってくれる人がいる。
- 来てくれるお客さんのために、どうすれば“見て楽しいダンス”になるか必死に考える人がいる。
- 衣装をそろえる人、メイクをしてあげる人、撮影や照明を整える人がいる。
目の前のダンスだけではわからない、たくさんの優しさと情熱が、イングのFESを支えている。
この「見えない努力の輪」こそが、“和=wa=ドーナツ”の本当の意味なのかもしれません。
準備の裏側と、進化する「チームing」
デザインも、フードも、ステージ構成も。練り直しやり直し、何度も話し合いながら形にしていきました。過去のFESを振り返り、「何が喜ばれたか」「今の自分たちらしさは何か」を一つひとつ確かめながら。
イングフェスの前身、「イングフェス0」と呼んでいた頃は、ほぼ全ナンバーを自分たちで踊り、MCも照明も装飾も全部自前。まさに“手づくりの楽しい地獄”でした(笑)。
それでも、あの汗と混乱の中にあった“熱”が、今のイングを支えているのかもしれません。回を重ねるごとに、メンバーが企画を担い、一人ひとりが“見せる楽しさ”や“作る楽しさ”を見つけていく。ダンスの発表会を超えて、“文化”になってきた。それが僕のいまの実感です。
熊部長として、今回のFESに想うこと
僕自身、今回はなんと「1ナンバーだけ」の出演になりました。ずっと裏で走り回っていた自分が、ようやくステージを“客席の真ん中”から見られるかもしれない。そんな不思議な嬉しさがあります。
でもたぶん、やっぱり裏でバタバタしてるんだろうなと思います(笑)。
出演する人も、見る人も、作る人も。みんなが輪になって、自分の“因果”をつなげていくような時間。それが、今回のイングフェス5です。
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